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土、空、山、水、そして火と。
1984年独立してまもなく、「お金のために器をつくる」ことに疑問を感じた小野哲平は、生まれたばかりの赤子を連れて旅に出ました。行き先のアジアで彼は思います、「つくる」ことは「生きる」ことなのだと。その後愛知県常滑に窯を構えたのちも旅は続き、タイ・ラオス・インド・ネパール・インドネシア・マレーシアを子連れで行ったり来たり。旅で感じたことはそのまま、小野哲平の器となりました。
1998年、高知県の標高四百五十メートル、美しい棚田が広がる台地に家族とともに移り住みます。村人たちはひたむきに米をつくり、山の仕事に汗します。工房は棚田に向かって建ち、ロクロに向かうと、窓から美しい棚田の風景が見えます。山の暮らしにはコンビニもなく街灯もほとんどありません。けれど、向き合えるものはいくらでもあります。土、光、風、山、水、空。そして棚田で暮らす人々。アジアの国々で感じたように、彼はここで、「つくる」ことは「生きる」ことだということを日々感じているのではないでしょうか。
自分を表現するとき彼は「弟子」という言葉を使います。それに習って言えばこんなふうに言えるかもしれません。小野哲平はアジアの弟子であり、この棚田が広がる地の弟子である、と。そして2001年、3年がかりで薪窯をつくり、彼は薪窯の弟子となりました。
薪窯の窯焚き、ロクロ、家族との暮らし。2005年秋から2006年、カメラは一年をかけてその姿を丁寧に撮り続けました。映像に描き出されるものは、立ち止まり迷いながらも生きる等身大の人間と、器づくりの情熱です。そして山のてっぺんに広がる棚田の美しい四季の風景。本書はこうしたムービー映像を収録したDVDと、やきものや旅、展覧会、美しいものとは何かについて長時間にわたるインタビューを収録したBOOKからなる、DVDブックです。
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